■はじめに
アナウンサーは、タレントではありません
「しゃべりのプロ」として、一般レベル以上の基本テクニックは必要ですが、企業(社会人)の一員としての「教養」「マナー」が求められることはいうまでもありません。
いくら原稿読みが上手かろうが、優れた容姿を誇ろうが、企業の看板を背負って立つことは、それほど簡単ではないのです。

では、なにが必要か?

自分で「考える」こと。俊敏かつ的確な「判断脳」
とっさの対応に優れた「瞬発力」
物怖じしない「根性」「推進力」
周囲をおだやかにみつめ、汲み取っていく「思いやり」
そして誰にもあたたかい陽だまりのような「笑顔」・・・

原稿読みや立ち居振る舞いを訓練するだけでは、「言葉(表現)のプロ」となれても、プロフェッショナルな社会人にはなれません。
人に「伝えていく」仕事だからこそ、言葉だけはなく、あなた全体で語りかけていく
それが、アナウンサーの基本ではないでしょうか。


■アナウンサー試験
アナウンサーの採用試験は、9月上旬頃からスタートします。





7月上旬から募集される「セミナー」は、東京KEY局が実施するものです。
実際のアナウンサー業務が体験できる1日限りのセミナー。
採用とは関係ないといえども、アナウンサーをめざすなら、
ここからが勝負!です。

なぜなら、本採用とおなじようなエントリー過程があるから。
エントリーシートを記入し、持参する。もちろん、簡単な応答程度の面接があります。
それに通過した人のみが「セミナー」に参加できるのです。

エントリーシートはどう書けばいいのか?
どんな写真が求められるのか?
どんな人たちがアナウンサーをめざしているのか?
実際の面接は、どんな雰囲気なのか?

セミナー選考といっても、確かめるべきことはたくさん。
ここである程度のことをつかんで、そこから本採用へと流れを移していきます。

年内には、東京・東海・関西地区の本採用がひととおり終息します。
年が明け、2月ごろになれば、各地方局へと舞台は移動。5月の連休を挟んで、長ければ9月末ごろまでアナウンサー試験は続くのです。

忍耐根性体力財力。アナウンサー試験は、自分自身との闘いでもあります。


■アナウンサー試験に必要な学習
では、なにを勉強すればいいのか?
まずはザッとあげてみましょう。

○発声、発音の基礎
○姿勢(立ち方、歩き方、座り方)
○表情

以上は、アナウンサーという職業上欠かせない「表面上」の能力となります。

○一般知識(数学、英語、雑学など)
○一般教養(マナー、政治、経済、文化など)
○時事問題(社会・国際・地域情勢)
○国語(漢字、熟語、ことわざ)
○表現能力(文章力)

これらは、社会人として最低限身につけておきたい「頭脳上」の能力です。
そして、なによりも忘れてはならないもの。

○主観にまどわされない眼力
○状況に応じ瞬時に判断し行動できる胆力
○いかなる時にも根底に持ち続ける愛情

「内面上」の充実こそが、あなたを取り巻くオーラとなって誰にも負けない強さを生み出します。


■学習の進め方
1)発声訓練
声の出し方は、コツがあります。大事なのは「お腹から出る」声。腹式呼吸をマスターし喉を痛めないよう気をつけましょう。
また、声は魂魄が立てる音。澄み切った、穏やかで、まぁるいやわらかい声。相手に届く声となるため、日ごろから心をピン!とのばしていきましょう。


2)発音・言葉遣い
口癖、独特のイントネーション、キツメの方言。そんなクセがあれば、いまのうちに直してしまいましょう。とくに、口癖や方言は、自分では気づきにくいもの。録音するなどして、確認してみましょう。
自分がどんな声/話し方をしているのか、客観的に捉えることも重要です。
ワカモノ言葉やコンビニ用語は要注意!普段使わない言葉は、いざというときも使えません。大学の教授や職員、アルバイト先の上司などと積極的に会話をしましょう。
就活期間中だけは、友人同士でも敬語で話すのもいいかもしれません。そうやって日頃から気をつけていきましょう。


3)原稿読み
ただやみくもに文章を読んでも仕方ありません。ニュースを録画するなどして、まねをしてみましょう。
レポート訓練として、「ひとり実況中継」。電車のホームで、駅で、コンビニで・・・ いたるところで、目に映る情景を言葉にかえていきましょう。観察力と言葉の瞬発力が磨かれます。ときには録音して、成果を確認するのもいいかもしれません。


4)姿勢
人の所作(姿勢/立ち居振る舞い)は、心をあらわします。プロの面接官でなくとも、振る舞いからは人格が透けてみえるもの。「誰もみていない」のではありません。いつでも、あなた自身がみているのです。
大またを広げて座ったり、街角に座り込んだり、足を組んだり、公共の場でメイクをしたり、大声で笑いあったり、食事をしたり...。
傍からみて「美しくない」姿勢・行動は慎みましょう。美しいか美しくないかは、あなたの心がけ次第です。


5)教養・知識
この業界をめざすなら、新聞・ニュースに注意を向けるのは当然のこと。その上で必要な情報、そうでない情報を読み取り、分析する。氾濫する情報を鵜呑みにし、流されるようではいけません。情報の判断、取捨選択能力を磨いていきましょう。
そして、詰め込む。詰め込んでおけば、必要なときに情報と情報が結びつき、あらたな展開をみせてくれます。もちろん、結びつけることのできる脳をつくりあげることも忘れずに。
日頃から、森羅万象に関心をもつ。どんなものも、興味の目を持ってみつめる。メールやゲームで手元ばかりみつめていては、何も生まれません。みつめる範囲は水平線の彼方まで。どんなことも、自分に引き寄せて考えるクセづけをしてください。


6)表現力
知らない人は、体現できない。だからこそ、たくさんの本を読みましょう。いろんな演劇や絵画など優れた芸術に触れましょう。好きか嫌いかは、関係ありません。嫌いなら、なぜ嫌いなのか?どうすれば好きに変えられるのか?そんなことにまで思いを馳せてみましょう。もちろん、「書く」ことも忘れないで!ブログではなく、きちんとペンを手に持って。


7)コミュニケーション
「誰とでも仲良く話せる」ことが、コミュニケーションではありません。人に伝えるには、人がなにをどのように感じ、考えているのかを知ることが大切。どんな相手にも目線をあわせ、語り合うことのできる懐の深さを養ってください。
世代や立場が違っても、修得した知識があれば大丈夫!使ってこその知識です。学んだことをどんどん実践して、本当の力に変えていきましょう。
話し上手は聞き上手。アナウンサーであるからこそ、話を引き出せる強さと優しさを身につけていきましょう。


8)志望動機
アナウンサーに限らず、どんな職業であれ重要となるのが「志望動機」。間違えないでください。志望動機は、あなたの野心や願望を主張する場ではありません。夢や野望は大切です。きっかけも重要です。しかし、あくまでも「社員採用試験」。採用試験であるということは、あなたの夢と企業の夢が一致しなければなりません。
あなたにはどんな夢があり、それはその企業にとって、また社会にとって、どんな夢・利益をもたらすのか。だからこそ、アナウンサーなんだ、○○テレビなんだ。そこまでいえてこそ、「志望動機」となるのです。


■アナウンサーをめざすあなたへ
アナウンサー試験は難関です。とにかく、志望者が多い。けれど、惑わされないでください。本気のアナウンサー志望者なんて、ほんの一握り。大半が「アナウンサーっていいな」「とりあえず受けてみよう」「なれたらラッキー♪」という程度の思いでしかありません。あなたの思いは、そんな浅いところにあるのですか?

本気で、全身全霊をかけてアナウンサーをめざすのなら、迷うことなどありません。いまできることを、できる順番に、いますぐ!この瞬間からはじめていきましょう。

すべての努力が報われるかといえば、残念ながらそうではありません。だからといってみえもしない結果を恐れて立ち止まることはやめてください。一度きりの闘いです。「いま」を逃せば、二度とアナウンサーという夢に挑戦する機会はありません。

弱音をはくことなく、自分を叱咤激励しながら進んでいける。なおかつ、周囲への配慮も忘れない。そうやって、日々を大切に過ごしてください。つまらない何気ない一瞬でも、その一瞬は永遠に戻ってはきません。平凡のなかにこそ「特別」は潜んでいます。それをみつけられるあなたであってください。本当に大切なのは、きっとそんなところです。

「どうせ私なんて・・・」「こんな倍率じゃとてもムリ」 そんなふうに言い訳するのはやめましょう。人生、退くことはできません。雨が降れば雨の中を、風が吹けば風に向かって。そんなふうに立ち向かっていかなければ、人は前へ進めません。

晴れてアナウンサーになれるかどうかは、数年後のおたのしみ。たとえ、チャンスにめぐりあえなかったとしても、「アナウンサー」という夢に向かって立ち向かった事実は一生モノです。あれこれ悩んで立ち尽くすよりも、まずは真っ向勝負

大切なあなたの夢を、閉じ込めてしまわないでください。

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